NatureJUN.16.2021

緑=一生忘れる事ができない日になった2018年11月9日とは?!

人は生きていく中で忘れたくない人や物、場所に出会うことがあります。

一生忘れる事ができない日になった2018年11月9日について書いていこうと思います。
それは、snails_projectのデビューヴィジュアル撮影日の事です。

アートディレクター千原徹也さん、フォトグラファーレスリー・キーさんと共に
鳥取名所である「鳥取砂丘」で行いました。

私達は、snails_project について数回ミーティング重ね、
「なぜ、snailsという名前なのか?」
「アイコンストーリーについて」「どんな活動をしていきたいのか?」
などを伝えていきました。

ヴィジュアルイメージミーティングの際、
私は、
「空・海・太陽・植物など自然を感じる場所で撮りたい」、
「都会っぽくない場所」
「コンクリートやキラキラした場所でなく、人の気配をかんじない場所」
などなど伝えた所、
「鳥取砂丘とかどうかな?」
と千原さんから提案を頂き、私は即答で、「綺麗!」と答えました。

私は、鳥取砂丘に行った事はないのですが、両親から旅の思い出話を聞いたことがありました。
「良い意味で、何も無くて素敵だった。シンプルで、砂漠を登ると、一面の海が広がっていた」と。
この両親の言葉が、頭に思い浮かび、ピンときたのです。

撮影は、2日間にわたり行われました。
初日は、10数名で撮影場所を決めるロケハンをし、鳥取砂丘や海、砂丘近くの森や神社など、色々と見て回りました。
東京生まれ・育ちの私は、毎日コンクリート生活。 
この場で自然の香りを胸いっぱい吸い込むと、身体や心が喜んでいた事を思い出します。
数か所の撮影場所候補が決まり、
その夜の夕食はスタッフ皆で明日の撮影のこと、セクシュアリティのこと、
それぞれの仕事話など語り合いました。
時が経つにつれリラックスし、温かで幸せな気分になっていました。

撮影当日。
目覚めと共に外をみると、生憎の天候でした。
でも、からっと晴れているより少しどんよりした雰囲気が、私にはなんとも心地よさを感じました。
朝食を取り、その後、
これから撮影するsnailsの服にアイロンかけていると、この数か月間が思い巡りました。
私のこだわりや、想いに寄り添ってくれた生地屋さん、縫製工場さん、プリント屋さん、刺繍屋さんと、
多くの方々の力をお借りしてできた事を。
感謝しながら・・・

準備を終えて、さあ!
鳥取砂丘にむかう所で、
アクシデントです。
当日入りのレスリーさんが来ない。
「がーん。」
どうなるの? 撮影??
そして、雨まで強くなってきて、
どうしよう…
「ざわざわ、ドキドキ」が続いていました。

結局3時間遅れで撮影開始。
ロケバスを降りようとしたら、強い雨、強風、荒れた海。
外は凍えそうなほど寒かったです。
私は気合いを入れて半袖で作業していましたが、「ブルブル」と震えが止まりませんでした(笑)

鳥取砂丘も前日のロケハン風景とは表情をすっかり変えてしまっていました。
色々な事が想像通りでないこの環境が、まるでSF映画のワンシーンのようにも感じられ、
なぜか私の心は、先ほどの「ざわざわ、ドキドキ」から「ワクワク」に変わっていました。

撮影イメージは、3つパターン。
〇無限に広がる砂漠
〇どこまでも続く海
〇荒れた環境・雨風に負けない植物
いつもはディレクターとして仕上がりの確認などが主な仕事の私ですが、
今回の撮影ではモデルに服を着せ付けたり、ライティングアシストしたり、スカーフをなびかせたり。
状況の変化や、やることも多く大変でしたが20代の頃のアシスタント時代を思い出したりしながら、
私は夢中で、そして一生懸命でした。

撮影では、
かたつむりのオブジェが登場します。
そのかたつむりを制作してくださった
「モリイ美術」の森井さんの仕事ぶりに、
プロフェッショナル(本物)というものを
再認識させていただきました。
海での撮影シーンの時の事です。
強風で、かたつむりのオブジェが波に流されてしまい、
冷たい海の中、ずぶ濡れなって時に波を頭から被りながら、
撮影中ずっとオブジェを支えていただきました。
見ているこちらの心が「ぎゅー」とする場でした。
いまでもオブジェを見ると、その時の光景が浮かびます。

撮影は、自然が魅せる表情、そしてチームの力と色々な要素が絡み合い、
融合され存在感美しいファーストヴィジュアルが撮れました。
まさに自然が魅せる想像していない状況だったからこそ、
想像できないような素敵な世界感がうまれたと思います。